手嶋龍一、佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」 [読書]
ベストセラー小説「ウルトラダラー」の著者であり、外交ジャーナリストでもある手嶋氏と、外務省のラスプーチンとも呼ばれ鈴木宗男氏の事件では背任容疑で逮捕もされた佐藤優氏の対談、と言う形の「インテリジェンス=謀略」についての本である。
東京のインテリジェンス市場は今、沸き立っている。北の独裁国家が核実験に踏み切ったのを機に、情報大国は第一級のインテリジェンス・オフィサーを日本に 送りこんでいる。彼らの接触リストのトップには本書の著者名が常にある。情勢の見立てを誤ったことも、機密を漏らしたこともないからだ。極東発のインテリ ジェンスは対日戦略の骨格となる。武器なき戦いの幕はあがった。情報大国ニッポンの誕生に向けた驚愕のインテリジェンス入門書。
小説「ウルトラダラー」も面白かったが、その現実版という意で本書は非常に興味深い。本書は両氏の対談という形をとっているのであるが、そもそも仲が良い・・・という感じでもなく、対談そのものが本書の説明する「インテリジェンス」戦になっているという点も興味深いのである。「××は実は△△ということだったんでしょ」「いやいやそれは言えません」という雰囲気の中で、近年のさまざまな事件が語られており、単純に対談として楽しめた。
ちなみに本書で語られている「カウンターインテリジェンスとポジティブインテリジェンス」というのは、ビジネス上でも非常に示唆のある内容であった。交渉術、というか交渉戦というのは国家のレベルだけではなく、あらゆる場面に登場する。というわけで、なかなかの良書だったのかな、と。
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