山本ふみこ「おいしいくふう たのしいくふう」 [読書]
著者のブログ。その書籍版。
おいしいくふうたのしいくふう―山本さんの愉快な家事手帖〈2〉 (ORANGEPAGE BOOKS)
- 作者: 山本 ふみこ
- 出版社/メーカー: オレンジページ
- 発売日: 2009/02/17
- メディア: 単行本
手頃な長さで読みやすく、細切れ読書しかできない今の私にぴったり。
自分の身の回りのことがらばかり。
だから、ささやかに本の世界にいても、すぐに現実に戻ってこられる。
迷ったり、考えたりしながらも、身近なことを楽しんでいられるって、とっても重要。いちばん幸せなことなのかも。
ちょっとしたくふうをしてみようと思う。料理も掃除も考え方も。(嫁)
福岡伸一「できそこないの男たち」 [読書]
すっかり更新が滞っている理由は明快。
夫のほうは、たぶん、相変わらずもりもりと読書はしているのだけれど、更新する時間がない。
私はというと、子育てと家事に仕事が加わって、ゆっくり本を読む暇がない。
もうしばらくは、スローペースでいくことにしよう。
久々の読書は手軽に読める(それでも恐ろしく時間がかかった)新書。
新書で、科学分野の本なのだけど、ドラマチックに読ませる感があって、普段、科学的なこととは縁がなくても十分についていける。
衝撃的なタイトルで、世の男性が妻に読ませたくない本なんだとか。
なんとなく分かる気がする。
私はしばらく、これで夫をいじめたのであった。
とはいえ、それで、男がいらないというわけではもちろんなく、このタイトルの謎解きのような気持ちで読んでいけば、男女とも楽しめるのではないかなと思うのだけど。
それについては先に読んだ夫にはまだ聞いていないのである。
手嶋龍一、佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」 [読書]
ベストセラー小説「ウルトラダラー」の著者であり、外交ジャーナリストでもある手嶋氏と、外務省のラスプーチンとも呼ばれ鈴木宗男氏の事件では背任容疑で逮捕もされた佐藤優氏の対談、と言う形の「インテリジェンス=謀略」についての本である。
東京のインテリジェンス市場は今、沸き立っている。北の独裁国家が核実験に踏み切ったのを機に、情報大国は第一級のインテリジェンス・オフィサーを日本に 送りこんでいる。彼らの接触リストのトップには本書の著者名が常にある。情勢の見立てを誤ったことも、機密を漏らしたこともないからだ。極東発のインテリ ジェンスは対日戦略の骨格となる。武器なき戦いの幕はあがった。情報大国ニッポンの誕生に向けた驚愕のインテリジェンス入門書。
小説「ウルトラダラー」も面白かったが、その現実版という意で本書は非常に興味深い。本書は両氏の対談という形をとっているのであるが、そもそも仲が良い・・・という感じでもなく、対談そのものが本書の説明する「インテリジェンス」戦になっているという点も興味深いのである。「××は実は△△ということだったんでしょ」「いやいやそれは言えません」という雰囲気の中で、近年のさまざまな事件が語られており、単純に対談として楽しめた。
ちなみに本書で語られている「カウンターインテリジェンスとポジティブインテリジェンス」というのは、ビジネス上でも非常に示唆のある内容であった。交渉術、というか交渉戦というのは国家のレベルだけではなく、あらゆる場面に登場する。というわけで、なかなかの良書だったのかな、と。
エラリー・クィーン「Xの悲劇」 [読書]
本格推理小説の古典(?)、名作を意識して読んでいる。というわけで、今回はエラリー・クィーンの「Xの悲劇」である。なお、記憶の限りエラリー・クィーンの作品は初めて手に取ったことになる。
さて、そもそも知らなかったのは、エラリー・クィーンという名前自体が二人の人物(従兄弟)のペンネームだったということ。そして、本作から始まる「ドルリー・レーン」のシリーズ自体はそもそも、別のペンネーム(バーナビー・ロス)名義で出版されたのだということ。この理由はシリーズを読んでいけばわかるということらしいので、ちょっと楽しみである。
ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いる が、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な 挑戦をする、本格中の本格。
そして、本作の感想だが、素晴らしいの一言である。 今まで未読であったことが非常に悔やまれる。
何が良いかというと、主人公の探偵役のドルリー・レーンが非常に異色でかつ素晴らしい役回りなのである。
変わり種の探偵というと、京極夏彦の小説に出てくる榎木津や、それこそ清涼院流水のJDCシリーズには星屑のように出てくるが、本作の主人公レーンは真っ当に変わっている・・・というか、非常に特異な経歴の持ち主であるが、それがしっくりきているのである。
本作の最初の数ページで、あのように鮮やかに主人公の経歴を語り、自然に推理小説に導入するというのが、もう、まいったというか。そしてぐいぐい引き込まれていく。
ともかく、未読であれば問答無用にお勧めの名作なのであった(ワルオ)。
栗本薫 「グインサーガ 111-124」 [読書]
アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」 [読書]
さまざまな職業、年齢、経歴の十人がU・N・オーエンと名乗る富豪からインディアン島に招待された。しかし、肝心の招待主は姿を見せず、客たちが立派な食 卓についたとき、どこからともなく客たちの過去の犯罪を告発してゆく声が響いてきた。そして童謡のとおりに、一人また一人と…ミステリの女王の最高傑作。
先日読了した綾辻行人さんの「十角館の殺人 」は本作へのオマージュになっているという。というわけで手に取った本書であるが、さすがの名作であった。結末についてもしっかりと驚きがある。
さて本作はミステリ用語としては「クローズド・サークル」というジャンルに分類されるという。 曰く、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品のことである。同じジャンルだと「ナイルに死す」も未読なのでこれも攻めておきたいところ。これもアガサ・クリスティーなのか・・・
実はクリスティーはあまりにメジャーなので避けていた作家である(いわゆる赤川次郎みたいなイメージで)。しかし、やはりミステリの大家だけはあった。というわけで食わず嫌いを直して、いろいろと読んでみたい(ワルオ)。
ディーン・クーンツ「対決の刻」 [読書]
coco's bloblogさんのところで興味を持って手に取ったもの。そういえばディーン・クーンツの作品は(多分)ほとんど読んでいない。ひょっとすると一冊くらいは学生時代に読んだかもしれないのだが、それがどれなのかは思い出せないくらいである。とはいえ、モダン・ホラーの大家としては認識している程度。
おばのトレーラーハウスに身を寄せ、職探し中の美女ミッキー。自らをミュータントだと語る、手脚が不自由な少女レイラニ。命を狙われ、追っ手から必死に逃げる少年。議員の女性関係を調査する私立探偵のノア。謎めく複数の物語がスリリングに展開する、その先には……。
10 歳までに自分は殺されると語るレイラニが突然家族と姿を消した。彼女の身を案じ、ミッキーは探偵のノアに助けを求める。一方、何者かに追われる少年は、双 子の美人とアイダホへ。それぞれのストーリーがつながり、ついに残酷な敵が恐るべき牙をむく! サスペンス、SF、スリラーの境界を越えた感動巨編。
というわけで本作なのであるが、実は期待していたほどには楽しめなかったのである。アオリにあるようにサスペンス、SF、スリラーの要素が絡み合って、登場人物や「仕掛け」を期待させる演出は非常に巧く、グイグイと読めるのだが・・・期待感だけがずっと引っ張られ、なかなか話が盛り上がらないままに終わってしまったというのが感想である。
しかし、それでも読ませるのは巨匠の技。いろいろ調べると「ウォッチャーズ」 が代表作のようなので、いつか別の機会に手に取ってみたい(ワルオ)。
綾辻行人「十角館の殺人 」 [読書]
いわゆる「新本格」というジャンルがある。正確には「新本格派ミステリー」のようなのだが(Wikipediaなどをご参照)、だいたい90年代以降に書かれた本格推理小説のことのようである。有名どころであれば、京極夏彦さんや森博嗣さんなどもこの新本格の流れに属するようである。この、「新本格」というジャンルの皮切りとなったのが、この「十角館の殺人 」なのだそうだ。
というわけで、長らく気になっていたのだが、やっと手に取る機会があり読了。
これが、なかなかどうして大変に面白い推理小説だった。
詳しくはネタバレになってしまうので書くべきではないのだろうか、私は本作のプロットの元ネタの、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」をそもそも知らなかったので、二重の衝撃があるのである。このような形の推理小説というものがとても新鮮。だって、推理小説につきものの登場人物である○○が登場しないし、最後に○○も無いのである!
と、伏せ字でたいへんにしょうもない感想となってしまったが、現代ミステリとしてはぜひとも読むべき作品なのだろうと思う(ワルオ)。
海堂尊「ジェネラル・ルージュの凱旋」 [読書]
天沢退二郎「光車よ、まわれ!」 [読書]
米光一成さんのBlogで拝見した本作。開いてみてめんくらった。ひ、ひらがなが多い・・・。
実は本作が児童文学であることを、まったく失念していたのであった。 しかし、中身はなかなかに子供向けとは思えない内容である。
はじまりは、ある雨の朝。登校した一郎は、周囲の様子がいつもと違うことに気づく。奇怪な事件が続出する中、神秘的な美少女・龍子らとともに、不思議な力を宿すという《光車》を探すことなるのだが——。
《光車》とは何か。一郎たちは「敵」に打ち勝つことができるのか。魂を強烈に揺さぶる不朽の名作が、装いも新たに、待望の文庫版で登場。
〈解説・三浦しをん〉
とりあえず読みながら感じたのは松本大洋さんのマンガ「鉄コン筋クリート」のイメージである。なんというか、大人の視点ではなく、もっと歪んだ子供の視点で描かれた物語はかなり新鮮(ちなみに1972年の作品なのだが)。なお、児童文学であれども、なんというかカラリとハッピーエンドになっているわけでもなく、暴力も死も登場する(さすがに性描写はないけど)。
というわけで、なかなかに新鮮な読書体験をしたのであった(ワルオ)。