エラリー・クィーン「Xの悲劇」 [読書]
本格推理小説の古典(?)、名作を意識して読んでいる。というわけで、今回はエラリー・クィーンの「Xの悲劇」である。なお、記憶の限りエラリー・クィーンの作品は初めて手に取ったことになる。
さて、そもそも知らなかったのは、エラリー・クィーンという名前自体が二人の人物(従兄弟)のペンネームだったということ。そして、本作から始まる「ドルリー・レーン」のシリーズ自体はそもそも、別のペンネーム(バーナビー・ロス)名義で出版されたのだということ。この理由はシリーズを読んでいけばわかるということらしいので、ちょっと楽しみである。
ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いる が、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な 挑戦をする、本格中の本格。
そして、本作の感想だが、素晴らしいの一言である。 今まで未読であったことが非常に悔やまれる。
何が良いかというと、主人公の探偵役のドルリー・レーンが非常に異色でかつ素晴らしい役回りなのである。
変わり種の探偵というと、京極夏彦の小説に出てくる榎木津や、それこそ清涼院流水のJDCシリーズには星屑のように出てくるが、本作の主人公レーンは真っ当に変わっている・・・というか、非常に特異な経歴の持ち主であるが、それがしっくりきているのである。
本作の最初の数ページで、あのように鮮やかに主人公の経歴を語り、自然に推理小説に導入するというのが、もう、まいったというか。そしてぐいぐい引き込まれていく。
ともかく、未読であれば問答無用にお勧めの名作なのであった(ワルオ)。
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