安部公房「砂の女」 [読書]
正直に言う、これで女子大の文学部国文学科近代文学ゼミの出身である。
恥をさらすようだが、実は読んだことがなかった。
砂に閉じ込められ必死に脱出を試みる男。そして、それを阻止しようとする女と村人。
奇想天外な設定と、スリリングな展開。映像になってはっきりと浮かんでくるような描写。手に汗握る。
そして、「罰がなければ、逃げるたのしみもない」という冒頭のことば。
これは深いぞ。
今さら私が主張するまでもないが、名作はそういわれる理由がちゃんとあるのだ。
こういった読みこぼしが、確かにたくさんある。
たっぷり時間があったはずのあの頃、若かった頃に読まなかった自分の不勉強を猛省する。
が、一方で、卒業して10年の時を経て、学生時代に学んだことが確実に熟成している感があるのもまた確かだ。
そう、きっと遅すぎるということはないのだ。(嫁)
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