SSブログ

サミュエル・R・ディレイニー「ノヴァ」 [読書]

時は32世紀。プレアデス連邦の権力者ローク・フォン・レイは、仇敵プリンス・レッドを破滅の淵に追いこむべく、途方もない冒険に乗りだした。希少な超エネルギー資源イリュリオンを短時間に大量に採取しようというのだ。だが銀河広しといえど、それが可能な場所はただひとつ—大爆発をおこしノヴァになる瞬間の恒星の中心部だけだった!華麗な神話的宇宙を織りあげ、現代SFの頂点をきわめたディレイニーの最高傑作。


紹介文を読むと、なんだかティーン向けのスペースオペラのようであるが、とても難解な文学作品である。
それもそのはず、残念ながら廃刊ではあるが、SF小説の名著バベル17の著者でもある、ディレイニーの著作の中でも最高傑作と称される小説である。
というわけで、普段あまり利用しない想像力を振り絞って読む必要がある。

ノヴァ
ノヴァ
posted with amazlet on 07.06.04
サミュエル・R. ディレイニー Samuel R. Delany 伊藤 典夫
早川書房 (2005/11)
売り上げランキング: 261325

しかし、本作は改めて読み返してみるとSF小説というよりはファンタジー小説の赴きが強い。
主人公はジプシーの末裔である街の詩人で、吟遊詩人よろしく、音楽と同時に視覚嗅覚にも訴えかける楽器の一種「感覚シリンクス」を操る青年である。
そして、物語の随所で展開を暗示するタロットカード、

プレアデスから地球までをわずか3日で飛ぶ宇宙ヨット、原子番号300以上の超元素グループ、銀河系の派遣をめぐって争う2つの名家、さらには神経をずたずたに引き裂くノヴァの業火と、男たちの運命に影を落とす絶世の美女——


とにかく、甘ったるいSFには無い魅力に満ちた、絢爛な娯楽小説である(ワルオ)。

参考:
Wikipedia:サミュエル・R・ディレイニー


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。