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宮部みゆき「蒲生邸事件」 [読書]

ダ・ヴィンチ 2008年 09月号 [雑誌]

宮部みゆきさんの作品は気にはなっているのだが、あまり手が出ていなかった。
これまでに読んだのは「模倣犯」と「クロスファイア」だけである(たぶん)。
とにかく優秀なストーリーテラーなのはわかっているのだが、多作なので追いついていない。

そんな事を思っていたら、ちょうど2008年9月号のダヴィンチが、宮部みゆき特集であった。

で、読者、書店員、書評家アンケートによるベスト宮部作品を参考に手に取ったのが本作「蒲生邸事件」である。

蒲生邸事件 (文春文庫)
平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、そ の男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ—雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍 大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。“運命の四日 間”に交錯する人々の命運!当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く、ミステリー巨編。

ちなみにアンケート1位は「火車」だったのだが、ちょっとストーリーが痛そうなので後回しにしている(面白いのだが、「模倣犯」の読書の痛さを思い出して先送りしたのである)。

さて本作であるが、あらすじにある通り、お約束な展開ではあるが興味深い物語であった。 ちなみにSF風の展開であるのだが(日本SF大賞受賞作)、あくまで筋書きに意味を添える程度であり、やっぱり本作はミステリ作品である。何度も次の展開の予想を裏切られたりを楽しみながら、最後まで一気に読む事ができた。

さて、次は「火車」に調整する予定である。その前に積読の何冊かを片付けた後に・・・(ワルオ)。


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アルフレッド・ランシング「エンデュアランス号漂流」 [読書]

「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。
 絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る」
これは、1913年に出されたエンデュアランス号の乗員募集広告である。
翌年出発したエンデュアランス号はしかし、南極大陸まで320kmの点で氷塊に阻まれ、身動きが取れなくなる。
ここから約1年8ヶ月後に全員生還するまでのドキュメンタリーである。

世の中には、二種類の仕事があると考えている。一つは継続して何かを生産(またはサービス)する仕事。そしてもう一つは一定期間で何らかの問題を解決する仕事である。 後者、いわゆるプロジェクト型の仕事をしている人にはぜひおすすめしたい本である(ワルオ)。

エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)

エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)

  • 作者: アルフレッド ランシング
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 文庫

 

 

 

参考:
Wikipedia:帝国南極横断探検隊


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SF再読(エスクァイヤ日本語版 2008年10月号) [読書]

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エスクァイヤ日本語版の最新号の特集は「SF再読」である。というわけで、SFファン(?)としては見逃せない一冊。

Esquire Special SFは未来を語れるか?
SF再読。アーサー・C・クラークとフィリップ・K・ディック、巨匠2人が残したもの。
- 美しさへ。アーサー・C・クラークが描こうとしていたもの
- クラークが見た宇宙、見られなかった宇宙。
- 空想から現実へ。クラークが描いたテクノロジー、その実際とは。
- 2008年、手に取るべきクラーク作品とは。
- 作家の「幼年期」、ロンドン時代を訪ねて。
- 最晩年の共著者、スティーヴン・バクスターに聞く。
- アメリカという現実を凝視したSF作家。フィリップ・K・ディック、その奇妙な世界。
- フィリップ・K・ディックはいかにして脚色されたか? ハリウッドが魅了される理由。
- 川又千秋×円城塔、二人のSF作家が語る。夢を見るようにディックを読む事。
- 海外SF小説に描かれた日本人たち。サイファイジャパニーズ。
- 日本SF界の「英雄」、故・野田昌宏が遺したもの。パルプマガジン、そして日本のSF黎明期。
- 店主は伝説のSF映画研究家。飛騨高山のSFX博物館へ。
- ストレンジ・フィックションという新潮流。
- 未来への扉という名の文学史。時代でたどるSF小説60冊。

2008年3月に亡くなったアーサー・C・クラークさんを軸とした特集、ということで非常に読み応えがある。 また、雑誌の特徴でもあるが非常に美しい写真が多く、楽しみが文章だけではないのもありがたい。イオやエウロパの美しい写真を見ながら未来を想うのもまた楽し、である。

改めて振り返ってみると、私は意外とクラーク作品を読んでいない。読んだものは「幼年期の終り」「2001年宇宙の旅」「2010年宇宙の旅」「2061年宇宙の旅」「イルカの島」くらいである。実は、クラークの普遍的なテーマ「宇宙における人類の位置」「進化」は重いので、すこし避けていた。

これを機会に何冊か読んでみようと考えている(ワルオ)。

読書予定に組み込んだもの:

宇宙のランデヴー (ハヤカワ文庫 SF (629))

宇宙のランデヴー (ハヤカワ文庫 SF (629))

  • 作者: アーサー・C・クラーク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/09
  • メディア: 文庫
楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)

楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: アーサー・C. クラーク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫
渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF ハヤカワ名作セレクション)

渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF ハヤカワ名作セレクション)

  • 作者: アーサー・C・クラーク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/07/21
  • メディア: 文庫

 


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西田圭介「Googleを支える技術 ~巨大システムの内側の世界 」 [読書]

Googleの公開されている情報、論文などを出来るだけ平易に解説した本・・・なのだろう。

とえば、ふだんなにげなく行っているWeb検索。背後には、想像以上に膨大な計算、多数のコンピュータの働きがあります。本書では、論文やWebなどで公開されているパブリックな情報をもとに、Googleの基盤システムについて技術的な側面から解説を試みています。世界規模のシステムにおける『分散ストレージ』『大規模データ処理』『運用コスト』など注目の話題を盛り込み、学部生をはじめ初学者の方々にもお読みいただけるように基礎知識から平易に説明します。

さて、本書は読んでいて楽しい本ではおそらくない。Googleを支える非常に基盤的な要素技術中心に書かれているからである。
とはいえ、Googleの提供される巨大な(膨大な利用者に耐えうる)システムの裏側は興味深い(ワルオ)。

Googleを支える技術 ‾巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)

Googleを支える技術 ‾巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)

  • 作者: 西田 圭介
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2008/03/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

 

参考:
404 Blog Not Found: Beauty Deeper than the Skin - 書評 - Googleを支える技術


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野村進「調べる技術・書く技術」 [読書]

読書の参考にしているBlog「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」で紹介されたので手に取った本。

テーマ選び、資料収集法、質問の作り方から、 インタビューの実際、原稿執筆のコツまで── 第一線のジャーナリストがすべて明かす これがプロの「知的生産術」だ!

硬派なノンフィックションが好きな私としては、非常に興味深く読めた。しかし、残念ながら「知的生産術」としてはあまり参考にできない。あくまで本書はノンフィックションライター向けの「調べる技術・書く技術」について書かれているからである。

本書は事件や人物についてメディア等で調査し、インタビューを行い、文芸作品として書くという事について書かれた本である。というわけで、残念ながらライター業を志す人以外にとっては、本書で紹介されている技術を直ちに活用することは難しい(ワルオ)。

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

  • 作者: 野村 進
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/04/18
  • メディア: 新書

 


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平松洋子「夜中にジャムを煮る」 [読書]

夜中に無性に台所に立ちたくなる。こんな時間には、お菓子とかジャム。家人には「なにも今やらなくても。」と決して賛同を得られないのだが、料理好きに聞いてみると、この傾向が顕著にみられるのだ。だから、とびつきたくなるタイトル。

夜中にジャムを煮る

夜中にジャムを煮る

 

  • 作者: 平松 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本

 

 

 料理研究家の書いたエッセイとも違うし、単なる食べ歩きの記録とも一線を画す。日々の台所仕事に埋もれてしまうような、しかし、料理をしている人にならきっと共感できるような物事を拾い上げた文章ばかり。試す、学ぶ、迷う。失敗も成功もあるけれど、とにかくやってみる。普通の主婦であることがいいけれど、台所から見える世界の広いことといったら。

韓国旅行でのごはん記録が圧巻。胃袋も果敢にチャレンジする心意気もかなりのタフネス!見習いたいものである。(嫁)


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菊澤研宗「組織の不条理—なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか」 [読書]

売り上げを伸ばすためなのか、アオリ気味のタイトルがついているが「取引コスト理論」を用いて代表的な組織の不条理行動を説明するという本である。何故この本を読もうとおもったのかはすっかり思い出せないのだが、なかなか興味深い書であった。

本書は、「組織の経済学」にもとづいて旧日本軍の不条理な行動を分析した書です。 軍事の歴史を経営・経済学理論で分析したという点で、本書は異端書です。また、本書は、あの不朽の名著「失敗の本質」と逆の主張をしている点にも特徴があります。  これまでの多くの軍事史家は、日本軍が非合理であったために失敗したとしていますが、本書では日本軍が合理的に失敗したことを理論的に説明しています。とくに、本書ではその典型的な事例として「ガダルカナル戦での日本軍の失敗」と「インパール作戦での日本軍の失敗」を分析しております。  この日本軍と同じ不条理な現象が、実は現代の日本企業にも起こっているように思います。今日多発している企業の不正も、無知や不道徳さから起こっているのではなく、むしろ不正であることを十分知りつつ、合理的に行っているのであり、非効率であることを知りつつ、合理的に行っているのではないかと思います。

組織の成員が限定合理的な(限られた情報の中でしか合理的な行動をとれない)ことから、大規模組織では結果的に不条理(に見える)行動をしてしまう、というのは言われてみればあたりまえな事なのであるが、 「ガダルカナル戦での日本軍の失敗」などの失敗事例にあてはめてみるとなかなかに興味深い。

また、自分の教養不足でもあるのだが、「硫黄島戦と沖縄戦」などは本書ではじめて詳しい歴史も学べて、新しい興味を持ってしまった。
Amazonの書評をみるとなかなかに異論もあるようであるが、読み物としてはなかなかよく読める本である(ワルオ)。

組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

  • 作者: 菊澤 研宗
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本

 


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ジャック・フィニイ「盗まれた街」 [読書]

SFホラー小説の古典である。似たような話はマンガや映画や他の本で何度も読んだ気がする。もの凄いデジャブ感がある。しかし、本書がその原点・オリジナルなのである。

アメリカ西海岸沿いの小都市サンタ・マイラで、奇妙な現象が蔓延しつつあった。夫が妻を妻でないといい、子が親を、友人が友人を偽物だと思いはじめる。はじめ心理学者は、時おり発生するマス・ヒステリー現象と考えていた。だがある日、開業医のマイルズは友人の家で奇怪な物体を見せられた。それは人間そっくりに変貌しつつある謎の生命体——宇宙からの侵略者の姿だったのだ! 奇才フィニイが放つ侵略テーマSFの名作。

本書は1955年に書かれたものであるというのが驚きである。最近の豪華絢爛なハリウッドSF映画や小説と比べると、なんというか地味で渋い。宇宙からの侵略者はウィルスや粘液質な生物、というわけではなく「植物の莢のような物」である。また、科学者や当局なども登場せず、あくまである小都市の中で物語が進行しているところなども渋い。

ちなみに本作は何度も映画化されているようである(いずれも未見)。2007年の作品「インベーション」はAmazonの評価などを観ているとイマイチだったようだが・・・(ワルオ)。

盗まれた街 (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2)

盗まれた街 (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2)

  • 作者: ジャック・フィニイ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/09/20
  • メディア: 文庫
インベージョン 特別版

インベージョン 特別版

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

 


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高橋みどり「ひさしぶりの引越し」 [読書]

高橋みどりさんち、特にキッチンは、雑誌なんかにちょくちょく登場するのである。だから、写真でしか知らないくせに、なんだか馴染みがあって、もし突然お邪魔してもここなら料理ができそうな気がする。引越前も後も。それがまたどちらも使いやすそうで、うちのキッチンももうちょっと改良の余地があるなーとかなんとか、ぶつぶつ言いながら料理をしてたりして。

ひさしぶりの引越し

ひさしぶりの引越し

  • 作者: 高橋 みどり
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本

 

 

 

賃貸マンションの我が家も、住み始めて早くも6年。平成元年築の建物はもう新しいとは言えず欠点はあるものの、おおむね住みやすく、なおかつ入居以来、更新のたびに家賃を下げてくださるのがありがたい。あれよあれよと時間がたった。でもね、やがて引っ越す時がくるんだろうな。ものを増やさずシンプルな暮らしにしようと決意するも、これがなかなか難しい。 みどりさんのようなスタイリストで、センスも抜群で、暮らしを楽しんでいる人に見えても、その実、意外にお手本とする人がいたり、大変な思いをしたり、工夫したりしてるわけで。この本を読んでると、ああ、普通の人でよかったと勝手に親近感すら覚える。パーフェクトじゃないところがいい。「ここまではできない。」なんてコメントにホッとする。

でも。こころあらたに思う。片付けよう。(嫁)


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サイモン・シン「フェルマーの最終定理」 [読書]

我が家は郊外にあるので、ちょっとした買い物は車で出かける事になる。
ある週末に、大型書店の駐車場に車を停めて近所で買い物を。
あとは本の一冊でも買えば駐車代は無料になる。
というわけで手に取ったのが、新潮文庫の100冊 2008でも取り上げられている本書である。
前々から読もうとは思っていたのだが手が出ていなかった。

さて、本書は360年間も証明されなかった「フェルマーの最終定理」の証明に関するドキュメンタリータッチの小説である。
各所で高い評価を得ている事は知っていたのだが、何がすごいというと数学の知識が殆どなくても読む事ができるようになっており、フェルマーの最終定理の証明も理解できるという事にある。そしてなお、その筋書きは単なるパズルの解読ではなく非常にドラマチックなのである。

そもそもフェルマーの最終定理そのものが、フェルマーが数論の書籍の余白に書いたメモ「n が3以上のとき、一つの n 冪を二つの n 冪の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」に始まっているということから面白い。フェルマーその人は、きちんと証明を書き残す人ではなかったというのだ(ヒドイ!)。

というわけで、たいへん面白くてタメになる本であった(ワルオ)。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

  • 作者: サイモン シン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 文庫

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